仕事追われる日々から踊りたくなる毎日へ

Eviivoは、ホテルや宿泊施設、パブ、リゾートのオーナー向けに、予約やプロモート用のアプリ一式を提供している。Eviivoは、そのプロモーションをVFXハウスのThe Mill内のディレクターとデザイナーの統合チームであるMill+に依頼した。Mill+のチームによって、コンセプトから納品までプロジェクト全体が作り上げられており、キャラクターデザインから脚本はもちろん、アニメーションに使う歌詞まで彼らが手がけたのだ。

「メインのアイデアは、日々の生活を物語として伝えることでした。マンネリで、本当に不幸せで、ストレスや非難のない良い人生を夢見た、心機一転の物語。地方でB&Bを始めたものの忙しく不安定な日々が、Eviivoの助けられるというものです」（モーションデザインのヘッドであるNils Kloth氏談）

コンセプトは、Eviivoの「スタート」ボタンで使うところから始まった。赤と黄色の丸はロゴの『ii』のドット。ドットは、円形のキャラクターになり、カラフルで小さな景色に移り住む。メインキャラクターは黄色ボタンで、街のオフィスワーカーの彼は通勤とパーテーションに区切られた生活に飽きて、自分のホテルをもつことにした。そして、Eviivoのサービスで彼の夢が成功につながっていく。「作曲と作詞した後、3Dアニメーションの制作に着手しました。３分間のフルCGアニメーショーンで作る必要があったので、多数のキャラクターアニメーションと豊富なシーン、大量のパーティクルシミュレーションなどが大きな課題でした」（Kloth氏談）

約95%のシーケンスは、完全にCinema 4D内で作成・セットアップされたものだ。レンダリングはV-Rayを使用。「全てのデザイン、モデル、カメラは、Cinema 4Dから直接書きだしたものでした。スケジュールがタイトだったので、作業工程を一つのアプリケーションにしておくことがベストだったのです。少し手を加えるために、ライティング、テクスチャリング、レンダリングにV-Rayを使いました」この３分間の作品は、３人乗チームが12コアのMac Proと64のレンダークライアントで制作された。

フラットな絵とミニマムなアプローチにより、クリーンナップやカラーグレーディングとわすかなグラフィック素材以外のポスト作業はほとんど不要だった。「すべてのレンダリングはV-Ray 1.8で行い、いくつかのパスとマスクをポスト作業用にレンダリングしただけです。フラットな絵にすることで、ポスト作業でコントロールする必要はありませんでした」

Kloth氏は、アニメーションの大半は小屋の屋内と屋外のため、２つのライティングを使い、シーンに合わせてカスタムライトを追加して、セットアップを調整したという。

最初のシーケンスで主人公の黄色が、地下鉄に乗って通勤しているシーンでは、カメラが電車の横をスイングしていて、内部がわかるように外側がカットされている。「このエフェクトの大半は、大きなブーリアンを使っています。立方体でくり抜いて地下鉄を回転させています。壁紙のテクスチャはポスト作業で加えて、ブーリアンによるアーティファクツをペイントする必要がありました」

電車が停まり、円形の乗客が一斉に降りていくシーンは、Cinema 4Dの物理エンジンを使用。そして、手付けアニメーションとシミュレーションの動きをスクリプトを使ってブレンドしている。

後半で、メインキャラクターが書類の処理に圧倒されている印象的なシーンがある。チームは、Cinema 4DのMoGraphツールに注目した。「海の動きは、デフォーマを使ってベースオブジェクトを動かして、書類をそのオブジェクトに合わせて複製しました。衝突判定を加えるために最終のレイヤにダイナミクスを加えています」

伝統的な川の表現は、スプラインを押し出して作成して、デフォーマを使って動かし、波らしいアニメーションを作成した。

小さな円形のキャラクターや踊っている羊は、Cinema 4Dのボーンを使ってリギングされた。「セットアップは簡単で、すぐに動かすことができました。円形のキャラクターは、カスタムのスプラインベースのリグで作成して、Curious Animal'のSpline Auto-riggingスクリプトとCinema 4Dのスプラインデフォーマを使って動かしました」また、リードアニメーターのDan Fitzgerald氏は、Curious Animal他のデフォーマプラグインも使用したことを付け加えた。

Mill+チームは、最終結果に満足していました。「すべての段階で忘れられないプロジェクトでした。私たちは作曲も作詞もホテル管理ソフトを取り上げることはありませんでした。クライアントも素晴らしく、羊のアニメーションも楽しみながら行いました。」

Cinema 4Dに関しても、彼は『必須』アプリケーションと推薦する。「他のパッケージでは完成できませんでした」