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Spotlight on Raoul Marks

Raoul Marks氏は、オーストラリアのメルボルンに拠点を置き、ロサンゼルスにあるElastic studioと共に働く、受賞歴のあるモーションアーティスト。 Raoulとクリエイティブディレクターの Patrick Clair氏が率いる彼のチームは、最も有名なテレビ番組のタイトルを担当しており、2016年に『Man in the High Castle(高い城の男)』、2014年に『トゥルー・ディテクティブ』でエミー賞を受賞、『ナイト・マネージャー』と『ホルト・アンド・キャッチ・ファイア』でエミー賞にノミネートしました。Raoul氏は、2015 Semi-Permanent design conferencesのオープニングタイトルのデザインとプロデュースを手がけ、SXSW フィルム・フェスティバルにノミネートされました。

digital media worldの編集者 Adriene Hurst氏は、Raoulに彼のキャリアやタイトルデザインへのアプローチ、彼が好きなインスピレーションの源について質問する機会を得ました。

私は2000年代初期にカーティン大学でデザインを学び、グラフィックデザイナーとして働いていました。 イギリスで映画広告に携わり、シドニー/メルボルンに戻って2010年頃からテレビ/映画のモーショングラフィックスを中心に手がけるようになりました。

映画は、私にとっていい教材でした。インスピレーションの源は映像に傾倒しています。『ブレードランナー』や『エイリアン』『2001年宇宙の旅』『ビデオ・ドローム』『アキラ』(大友克洋)といったクラシックは、私のスタイルを確立するのに大きな影響を与えました。これらの映画は視覚的にとても印象的ですが、思いがけず夢中になりました。どれもなんとも言い表せない独特の雰囲気やトーンがありますね。非現実的でありながら、やや不気味で現実感のある印象を与えてくれます。私は長編映画を作っていませんが、その色調のクオリティは私のイメージ制作を刺激してくれるので、煮詰まったときによく見直しています。

最近は、Jeffrey Smartの絵にハマっています。彼は、色やジオメトリに対してすばらしいセンスを持っていて、驚きのあるイメージを描く達人です。

現在のインスピレーションという観点では、移り変わりはありますが、Jonathan Glazerの『Under the Skin』とAdam Curtisのすべての作品、それとTVシリーズ『ブラック・ミラー』の最新シーズンは必ず観ています。

まずは、私たちのしていることで収入になっていることはとても幸運なことです。普段、仕事と意識していません。私はアーティスティックなアウトプットにいつも大きな喜びを感じています。デジタルツールでの作業は、特にやりがいがあり非常に効率的なプロセスです。最終的に、自分の思い描いたものを平面や映像に落とし込む工程は、すべてのクリエイティブの努力は少しフラストレーションが溜まるものです。それがスムーズですばやく行えれば、アーティストの感情の反応は満足が得られると思います。これが、私がデジタルツールに傾倒している理由だと思います。私はせっかちなので、できるだけ早くイメージを形にしたいと思っています。

私は、チームの人々とクリエイティブディレクターととても密接に仕事をします。共通のビジュアル言語にリーチしつつ、とても具体的で複雑なものを実現するプロセスを見つけますが、それは非常に非常にやりがいのある挑戦です。私たちは、共通の基準はシンプルな言語にするという制限を設けています。そのため、すばらしい略語を作成し、同僚との時間をとることで、コミュニケーションがよりスムーズになりました。.

クライアントと視聴者の方を広く見ていくと、私たちの仕事がどのように解釈されているのか興味深いです。それはいつも意図通りとは限りません。実際、『トゥルー・ディテクティブ』のタイトルで、イエロー・キングの正体の手掛かりがあると思った人がいるという話がありました。その時点で私たちはシリーズ全体を見ていなかったので、彼らの言っていることが理解できませんでした。

言い換えれば、視聴者の視点からすると、プロジェクトは徹底的に管理され細部まで考え抜かれていると思われているようです。新しいと感じものを作ることができれば、それは斬新でワクワクできますが、論理的な提示とすることは難しいですが、広く世界に影響を与えるものを制作するには良い方法です。

“大学の時から、Cinema 4Dを使っています。他の3D製品は、エントリーにするには少し厄介で、プログラマーに矯正されるような手順がありました。”
– Raoul Marks

大学の時から、Cinema 4Dを使っています。他の3D製品は、エントリーにするには少し厄介で、プログラマーに矯正されるような感覚がありました。そういう点で、Cinema 4Dは初心者でも簡単に入り込むことができ、すぐにいい結果が得られるように設定されていました。結果がすぐにわかるので、どんどんソフトウェアにのめり込んでいって、この10年使い続けています。

長年に渡り、進化し堅牢で、幅広く創造的なアプリケーションになりました。他の多くのツールとも連携でき、ありがたいことに、インポートやエクスポートに悩まされないCGIツールになりました。Cinema 4Dは、特定のタスクのためのハブとして働いています。

Cinema 4Dを使い始めたのは何年も前になるので、今のようなサポートネットワークはありませんでした。新参者という感じでした。ただ、ゆっくり確実にユーザー層は成長して最大のアーティスト集団の一つになりました。困ったときは、すぐに『Google』で見つかります。lesterbanks.comのようなサイトを見れば、かなりの素材がCinema 4Dに関するものです。他にもGreyscaleGorillaなどのCinema 4Dに特化したサイトは無数にあります。

すでにお話したとおり、Cinema 4Dはハブになっています。幅広いツール類の中心です。私にとって最も重要なのは、Octane Renderエンジンの開発でした。 私の仕事の方法が根本的に変わりました。 フリーランサーとして自分自身で舵を取っているので、私は大きなレンダーファームにアクセスできません。 基本的にOctaneは、モダンなグラフィックカードを使うことでレンダリングファームに置き換わる力があることがわかりました。

より重要なことは、ライティングとテクスチャがリアルタイムでできることです。クリエイティブにおける試行錯誤の時間はとても大きく、永遠のようにくり返します。複雑でリアルなビジュアルを制作するには、それが非常に大きくなります。技術的な限界が少なくなればなるほどアーティストは聖杯に近づけ、自分の創造したものを完璧に形として落とし込むことができます。さらに、3D Coat、Fusion 360、Megascansのようなツールは、クリエイティブなアウトプットの大きな力になります。

これまでコアのツールが非常に充実していたので、よく新しいアップデートは気にしていませんでした。しかし、小さなワークフローのアップデートと安定性は、本当に助かります。Alembicのサポートは、本当に便利です。ナイフツールとポリゴンペンのアップデートもすばらしいですね。

本当のところ、私は映画製作に挫折したので、それがリアリズムを押し進めているのだと思います。つまり、リアリズムのためのリアリズムではありません。現実世界のフォトグラフィーは、慎重に構築されたプロセスで、目を奪うようなイメージを作ろうとしています。私は同じゴールを目指しますが、異なるツールを使っているというわけです。

タイトルデザインのときは、主にそのショーのイメージやコンテンツ、テーマの情報がもらえます。与えられたドキュメントからその美学と私たち自身の影響をストーリーに融合させる長い道のりを歩みます。

ショー自体を明らかにするため、物語の肉付けと拡張されたテーマと意味を探します。タイトルは、それらのポイントを単に再現するのではなく、遠回しに物語のメッセージを象徴的に暗示させるか、ストーリーについてより広くシンプルに細部に反映させます。

たとえば、私たちが制作した『ホルト・アンド・キャッチ・ファイア』のタイトルでは、電子回路の配線に沿って信号が走る様子をありえないほど接写し、それが1980年代のコンピュータに全面でライトが点滅するというものでした。それは当時のコンピュータの日常的な操作手順でしたが、それを若い技術起業家によるコンピューティングを使った新しい技術の夜明けの象徴として使いました。新しいアイデアの誕生とキャラクターたちに対するすごいプレッシャーは隠しつつ、比喩的に電子と回路の世界へときれいに変換されました。

こうしたダブルミーニングは、視聴者にいろいろ想像させる良い面があり、テーマをはっきりと表現しなくても、コンセプトに興味を持たせ、広く象徴的な口コミを広めてくれます。このいい例が『デクスター』のタイトルです。シンプルに男性が自分の朝食を作っているのを見せているだけですが、主人公の二重生活を意図的に不吉に暗示させます。

私は通常、自分の業界以外の情報からリサーチを始めます。 お話したとおり、写真や映画はすばらしい出発点です。 しかし、別の領域である現代美術、彫刻、絵画、そしてより実験的な形もより独創的です。

多くのアートワークは、一般の読者には理解できないかもしれませんが、再解釈して別のシチュエーションにすると、印象的なイメージを作成するのに非常に効果的です。これは相互作用と言えると思います。 私たちはできるだけ広い分野からインスピレーションをもたらすことにメリットがあると考えています。

私は、とても才能のある人たちと一緒に仕事ができて本当に幸せです。Elasticのディレクター Patrick Clair氏は、いつもすばらしいアイデアを提供してくれ、これまでの成功の大部分は、彼の天才的な努力のおかげです。

エミー賞の受賞といったことに私が望むのは、私たちの仕事への自由とよりリスクと高く革新的なアイデアへの挑戦をサポートしてくれることです。実際、我々のクライアントは、コンセプトに対してオープンで積極的なことに驚いています。近い将来、タイトル制作の仕事が続けられるなら、とても満足できますね。それはとても光栄です。

枢軸軍が第二次世界大戦で勝利した別の世界で、象徴的なイメージを多大な作り出しました。アメリカの白頭鷲にナチスの鷹が描かれたショットが、すべての意味を表しています。私は、アメリカのシンボルの破壊が、象徴的な品質を持つタイトルにつながり、それによって授与されたと思います。


Client: HBO
Director: Patrick Clair
Lead Animator / Compositor: Raoul Marks
Design & Visual Research: Paul Kim, Jeff Han, Felix Soletic, Maxx Burman, Henry DeLeon, Dan Alexandru.
Storyboard Artist: Lance Slaton
Lighter: Shamus Johnson
Animator / Compositor: Yongsub Song
Head of CG: Kirk Shintari
3D Artists: Jose Limon Jessica Hurst, Dustin Mellum, Rie Ito, Joe Paniagua, Mike Kash, Ken Bishop
3D Rigging: Josh Dyer
Reference Photography: David Do
Producer: Ben Foster
Supervising Producer: Carol Salek
Head of Production: Kim Christensen
Managing Partner: Jennifer Sofio Hall

Special Thanks to Jonathan Nolan, Lisa Joy, Bruce Dunn, Mark Hoerr, Stephen Semel, Athena Wickham, Roberto Patino and HBO.


Produced by: Elastic
Creative Director: Patrick Clair
Lead Animation and Compositing: Raoul Marks
3D Look Development: Javier León Carrillo
Designers: Paul Kim, Jeff Han, Felix Soletic, Maxx Burman
Head of 3D: Kirk Shintani
3D Artists: Joe Paniagua, Ian Ruhfass
2D Animator: Tony Kandalaft
Associate Producer: Danny Hirsch
Head of Production: Kim Christensen
Managing Director: Jennifer Sofio Hall


Elastic
Director | Patrick Clair
Client | The Ink Factory
Network | BBC One

Designers: Paul Kim, Jeff Han, Kevin Heo, Felix Soletic, Nick Miller
Lead Animator: Raoul Marks
Animators: Youngsub Song, Lucy Kim
Special Thanks: Angus Wall

Producer: Zach Wakefield
Pitch Producer: Carol Collins
Coordinator: Danny Hirsch
Head of Production: Kim Christensen
Executive Producer: Jennifer Sofio Hall