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Cinema 4Dによる泳ぐモンスターたち Munk Studiosは、どのように世界の最も危険な水生生物を再現したのか。

ディスカバリー・チャンネルが求めていた世界中の危険な水生生物の側で泳ぐ男性のドキュメンタリーの制作が、Pryce Duncalf氏によって実現しました。クリエイティブディレクター兼Munk Studis Ltd.の代表であるPryce氏には、視聴者がモンスターについて分かりやすく、科学的な事実を、3Dアニメーションと2Dテクスチャマッピング、グラフィックデザインの組み合わせで解説する仕事が課せられました。3ヶ月という時間と前例にないほど自由なクリエティブを与えられたPryce氏は、必要される20分間のアニメーションとグラフィックをCinema 4Dを使って制作したのです。

このテレビ番組の目的は、視聴者がこれまで見たことがない殺人生物とも言える水生生物にクローズアップすることでした。Pryce氏は、これらの生物を一種の海中観測所に入れ、それをSFスーパーカメラでスローで見せながら、目では見えない部分を撮影するというアイデアを出しました。

リサーチは非常に重要でした。いくつか3Dメッシュは提供されましたが、ほとんどはゼロからモデリングされました。Prece氏は、内部の骨格や器官もスカルプトする必要があったため、国立歴史博物館やZCL図書館、グラント博物館に行き、頭蓋骨や骨について調査。正確に作成するために調べたところ、面白いことにアナコンダの歯の総数について、科学的な議論がされている最中であることがわかりました。いくつかの新しい生物は、科学的な資料に限りがありました。そのため各分野の専門家に連絡しなければなりませんでした。

リサーチ後にすべてのモデリングを行いました。なお、サメとカバの体のメッシュは、別に購入して編集とテクスチャの再設定をVrayで行いました。Pryce氏はモデリングの一部が誇張されていることに言及しました。「生物のモデルは最初はとてもリアルに作成しましたが、クライアントのフィードバックで、より怪物らしく見えるようにしました。こうしたフィードバックは、アニメーションを付けた後に受けることがよくあります。しかし、モデルは複製したメッシュをスカルプト調整して、それをモーフタグを使って新しいメッシュを参照することで簡単に調整できました。完全に非破壊で作業が行え、リグやウェイトの再設定が必要がなかったのは、大きなメリットでした」

骨格構造に合わせたベースモデルを制作する方法で行われました。モデルをより有機的にするためにCinema 4Dのスカルプトツールが使われました。

水中とわかるように生物には特徴的な動きを与え、照明は深さや冷たい環境に応じて暗く設定。次のような手法で行ったとのことです「生き物が暗闇に潜んでいたように見せるため、照明の範囲は限定されている必要がありました。環境ボリュームを作成するため、デプスパスと可視照明も使っています。それらの要素を別々にレンダリングして、After Effectsで合成しています。とても有効だったセットアップは、Microfloaties(微粒浮遊物)と呼ばれるJoel Dubinの作ったMoGraph / パーティクルリグで、ランダムに浮遊する浮遊物をシーンに追加するものです。このセットアップをほとんどのシーンで使い、シーンに合わせて一部のリグを調整しました」

生物のアニメーションで複雑なアプローチが必要だったのはヘビでした。どのような違いがあったのでしょう。「ヘビの動きについてはリサーチした後、私はヘビは絶えず体重を移動して、巻きつきを使って前進していることがわかりました。そして、形は絶えず変化します。水中を移動する場合は、巻きつきと波状の動きを組み合わて進みます。頭は先導しますが、独立して動いています。これらすべてを考慮して、3Dで動きの原則をつくるのにシンプルな方法はありませんでした。そこで、シナリオに合わせて実際の動きを真似るようにしました。ヘビが水中を動く初期のショットでは、主にスプラインIKを使い、制御ポイントを注意深くキーフレームで動かしました。IKのタイプは均等にして、制御ポイントに合わせてヘビが伸縮するにようにしました」

ヘビが鹿に巻きつくアクションでは、Cinema 4Dのツールの使い方について広範囲でのリサーチが必要でした。Pryce氏は、スプラインラップデフォーマを使いました。ヘビは真っ直ぐの状態から鹿を噛む位置にしました。スプラインラップデフォーマで使うスプラインは、頭部の位置からスプラインを描き始め、鹿に巻きつくように描いていきました。ヘビが収縮しているように見せるために、デフォーマの値をキーフレームでコントロールして、メッシュが短くなるようにしました。

イカをアニメーションさせるためのリグで、もうひとつ変わった問題がありました。Cinema 4Dのリグはボーンシステムがベースになっていますが、イカには骨はありません。この悩ましい問題を解決するために2週間のリサーチが必要でした。Pryce氏は、どのようにしてこの問題を解説したのでしょうか「イカには複数のリグとコントローラがあり、生物はその触手を思ったところへ動かすことができます。触手の吸盤な問題もMoGraphで解決できました。マトリクスに沿って配置させるためにサーフェイスデフォーマを使い、それをモーグラフで複製してランダムエフェクタで、ぞれぞれの吸盤に独自の動きを与えました」

もうひとつの番組の見所は、生物を撮影している通常のカメラから、X線効果に切り替わり、骨格構造が見えることです。これを実現させるために、Pyrce氏はそれぞれのアニメーションのために2つのプロジェクトを作成しました。一つは、外的な特徴をみせるビューティレンダーで、もう一つは外側をフレネルを使ったマスクで内部を見れるようにしました。すべてのテクスチャの調整はシンプルで、X線のパスについては高く発光させたものをフレネルをアルファチャンネルに適用したものでした。Pryce氏は、複数のマルパスレイヤーを重ね、After Effects上でそれに飛べるようにしました。

2つの4コアプロセッサのXeonをベースにしたMac Proで出力された20分間のアニメーションのシーケンスは、王立テレビ協会のグラフィックデザイン賞にノミネートされました。Pryce氏は、

Cinema 4Dを使った経験により、草分け的なアニメーションが制作できたと述べました。「Cinema 4Dで提供されているツールは、とても柔軟で多くのオプションにより、出会ったどんな問題も解決できました。安心して作業できた点として、未知の領域でも特に、XPressoや、Thinking Particles、MoGraphといったCinema 4Dのツールは、いつも解決方法を見つけらることでした」


メイキングムービーはこちら:
www.vimeo.com/75140487

Munk Studio Website:
www.munk.co.uk


Author

Duncan Evansフリーライター – イギリス