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数のゲーム 数字を使った事実の歪曲がどう行われているかを、ブロードキャストデザイナーであるSophia KyriacouがCinema 4Dのデフォーマを使って暴き出す

数字はミスリーディングを招くことがある。たとえば、会社が5%の損失を報告しても、それほど悪くは感じないが、その数字が1,000万ポンドだった場合はその印象は異なる。BBCスクールレポートのテーマでその脚本に付随するアニメーションでは、事実を隠したり、ストーリーを繕うために数字の戦略的な利用について求められた。

ブロードキャストデザイナーSophia Kyriacou – BBCで20年以上の経験を持つ彼女は、わずか2分(テーマに沿って厳密に言えば124秒)のアニメーションを制作するよう依頼された。

11歳から14歳の子供たちを対象としたこのレポートのアイデアは、数字や統計情報がどのように使われるか見せることで子どもたちが『フェイクニュース』の認識の手助けするというものだ。「アニメーションでは、数値は額面通りに受け取るべきではないことを伝えます。数字が大きいからといって、それが大きくて重要だというわけではありません。数字は意味のないものかもしれません。」(Sophia談)

初期のコンセプトでは、Sophiaは数字を動くキャラクターとして表現することに決めた。1桁の数字はスケートボード8、スーパーヒーロー4、アンジップ9といったわかりやすい名前で特徴のあるキャラにして、大きな桁数の数字はステージに並べた。これはまた、ソーシャルメディアを介してアニメーションをプロモートするため、個別のアニメーションGIFも提供した。

いつものように時間は限られていた。キャラクターのフルアニメーションに割り当てられた期間はわずか3週間。 当初キャラクターのアニメーションには、歩行モーションがあったため、ステージの上や外を歩かせることができたが、時間の制約上地面に固定して、シーンの出入りはキャラクターを舞台の上からワイヤで吊るし、シーンの切り替えは緞帳を使った。また、扱いやすいように、数値はテキストオブジェクトを使用してパラメトリックに構築され、Cinema 4Dのデフォーマを使用してアニメーション化した。特に屈曲、ツイスト、シアーが使われた。

「どのようにモデリングするかによって、時間は変わります。私は、デフォーマを配置したテンプレートを作成して、数値に変更があれば、テキストボックスに新しい数値を入力するだけでいいようにしました。デフォーマメニューにあるツールは、ボディランゲージの表現に使いました。デフォーマは、これまでのワークフローでも何年も使ってきましたが、キャラクターアニメーションに使ったり、雰囲気を表現したり、ボディランゲージの動きには使ってきませんでした。シンプルな屈曲はキャラクターの不満を感じさせ、ツイストは他のキャラクターとの掛け合いでユーモアと素朴さを感じさせます。キャラクターアニメーションは、複雑なキャラクターリグで構成されていると考えてしまいがちですが、必ずしもそうである必要はありません」(Sophia談)

シンプルにするため、腕はFKチェーンを使い、手は別オブジェクトとしてリグが設定された。足は、Cinema 4DのキャラクタビルダーツールのBipedで作ったが、下半身のみ使われている。デフォーマを使用するには、モデル構築を計画的に行う必要があったが、一つキャラクタができれば、他のすべてのキャラクタはすべて同じワークフローに構築できた。

「デフォーマは過小評価されることがありますが、非常に強力で使いやすいです」とソフィア氏。「オブジェクトのどこかを変形させるか考えてみてください。軸を間違えてデフォーマを使用すると、望ましくない結果になりますが、これは簡単に修正できます。アニメーションの作成は、AからBへの移動やスケールだけではありません。シンプルなデフォーマを使うことで、オブジェクトのサイズの変更から巻きつけることもできます。」

ソフィアにとって、アンジップ9のキャラクターを仕上げは、最も楽んだ。 「革ジャケットを脱いで、キャラクターが裸で少し哀れに見せたかったですが、そのキャラクターは、最も大変なワークフローでした。Substance Painterによるペイント、落ちるクロスダイナミクス、内部ゼロのスプラインが全体に伸びるアニメーション、ジャケットの前面用のメルとデフォーマなどがありました。振り付けのタイミングは、バタバタとしたユーモアができるようにいろいろ試しましたが、結果には本当に満足しています。」

このプロジェクトで、SophiaはレンダラーにArnoldを選んだ。「私はレンダラーとして、Arnoldを気に入っています。超リアルなルック・アンド・フィールを与えてくれます。キャラクターをミニチュアのプラスチックのおもちゃのように見えたかったのです。」

しかし、1体のキャラであれば、無限のカーブでも非常に素早くレンダリングできましたが、劇場のシーンではカスタムPCのワークステーションでさえ、何かがボトルネックになっていた。Sophiaは、これを複数のリグで構成された複数のキャラクターたちだと考えた。このプロセスをスピードアップするために、彼女は商用のレンダーファームであるPixel Ploughを使うことを決めた。「これは本当にうまくいって、最終結果を見るのを待たなければならないと言うストレスがなくなり、すぐにグレーディングを始めることができました。」

短いスケジュールのため、Sophiaは、あまり多くのレンダーパスを取らず被写界深度はデプスパスを使い、最終のポストプロダクション用にポストプロダクションの最終段階のアルファマスクのオブジェクトバッファに頼らざるを得なかったことを認めています。 「After EffectsでRed Giant Magic Bulletを使ってグレーディングしました。これは非常に強力で使いやすいです。ポストプロダクションのワークフローでよく使うようになりました。」

締切が厳しかったですが、最終的な結果からソフィアの創意工夫とCinema 4Dの包括的なツールのおかげであることは間違いありません。しかし、このワークフローでは、大きなキャラクターアニメーションプロジェクトではできないことがいくつかあることを認めています。 「キャラクターの構築は少し大変でしたし、ヌルでそれらを管理することは理想的ではありませんでした。ただ、ウォークサイクルや完全なアニメーションはなく、定位置に固定されたキャラクターだったので、デフォーマを使ってキャラクターを働かせました。ツイストと屈曲デフォーマは、この小さなアニメーション命を与えてくれました。」


画像は、BBC Newsより提供

Sophia Kyriacou Website:
https://sophiakyriacou.com


Author

Steve JarrattCGマニア/技術ジャーナリスト – イギリス