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美しい銀河の中へ 植物、鳥、滝、雲、宇宙、惑星、隕石、星雲などほとんどの部分でCinema 4Dを使用。

佐藤 隆之氏は、日本を拠点に国内だけでなく、アメリカ、ヨーロッパ、アジア圏の映像制作も行うモーションデザイナー、ディレクター。ドラマ 『Heroes Reborn』のオープニングタイトルや映画『スター・トレック ビヨンド』のエンディングVFX制作を手がけている一方、『The Moment of Beauty』などのショートフィルムの制作にも力を入れている。今回佐藤氏は、『The Moment of Beauty』の続編となる『Beyond the moment of Beauty』が、2016年12月に公開され話題を呼んでいる。

新しいショートフィルムの制作のきっかけは、2014年に公開されたショートフィルム「The Moment of Beauty』制作だったという。「初めからThe Moment of Beautyの続編を意識して作り始めたわけではありませんが、ラフスケッチやストーリーを考えていくうちに、作るのであれば続編が面白いかもしれない。そして2014年の公開からしばらく経った自分が思う『美』を追求してみたい。新たな世界観と表現を用いて作品作りに挑みたいと思った事でした」(佐藤氏談)

美しく繊細に変遷する世界をビジュアルとして形作るのは大変だったという。「表現したかったのはやはりThe Moment of Beautyの続編にふさわしいディテール感、繊細な美と世界観というのが一番にありました。その中でも数年前から表現したいと思っていたスタイルの宇宙はどうしてもこの作品に含めたいと思い、そのビジュアルを完成させるために研究を繰り返しました。

苦労した点はやはり自分が想像上ではなんとなく描けていても、実際にはその望んだビジュアルに中々到達しないという点でした」

2015年に制作を開始し、スタイルフレームは順調に描けつつも、仮にタイムライン上で見てみるとストーリが散漫とし過ぎて使えなかったり、2016年に入って改めて作品を作り直してみたものの、それでもストーリとビジュアルがどうしてもまだ納得のいくラインに到達せず、やむを得ず制作をストップしたりと、実は完成に至るまでに2回も作り直したという。

「2度作り直した後のフェーズ3でやっと自分が思い描いていたクオリティに近づくことが出来ました」

今回制作された映像は、、地面や岩、石、植物、鳥、滝、雲、宇宙、惑星、隕石、星雲、エフェクトなどかなりの部分でCinema 4Dが利用されている。「すべてのシーンといっても過言ではないと思います。人物や一部のエフェクト以外殆どCinema 4D内で制作、レンダリングしたものを、After Effectsで重ねていきました。

R18の新機能で嬉しかったのは、地面などで使用したバンプのパララックス機能です。もちろんディスプレースメントなどで調整を行う時もありますが、お手軽に良い効果が出てくれて重宝しました。

終盤に切り替えたクリスタルのテクスチャ(薄膜シェーダの活用)もR18の新機能ですが、描写がより綺麗になって嬉しかったです。

X-particulesとTurbulenceFDの組み合わせで生まれるエフェクトの描写が結構好きですが、X-particles単体でも本当に様々な表現が出来るので、多くのシーンで活用しました。

以前は表現が難しかった宇宙などの表現も、今ではX-particlesとTurbulenceFD、Krakatoaなどの組み合わせで、理想に近い表現ができるようになったので、この作品制作を機会に勉強できたこと、そして実際に使用できて本当に良かったです。

他にも一部の背景エレメントはスカルプティングの機能を使用したりと細かい調整を行えたことで、より自分が描きたいと思っていた世界観に近づけていくことができたと思っています」


佐藤 隆之氏のサイト:
http://otas.tv/

Beyond the Moment of Beauty - Into the Galaxy
http://otas.tv/work/btmob/