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クマをプリント クリエイティブエージェンシーのDBLGは、最新の社内プロジェクトで3Dプリントを使ってアイディアを形にしました。

ロンドンのクリエイティブエージェンシーであるDBLGは、時折アーティストに新しいアイディアとテクニックを探求する自由な裁量を与えています。

「これは実験するプラットフォームで、すべてを楽しんでいます」と同社の創設ディレクターである、Grant Gilbert氏は述べています。

3Dプリントのコンセプトに魅了され、同スタジオではアニメーションモデルを1フレームごとに出力して、ストップモーションのアニメーションの可能性を探求するプロジェクトに着手しました。

「原則として、私たちの仕事はコンピュータ内で完結しています。私たちは新しいスタジオプロジェクトで、コンピュータの外に何か物理的に作成するというアイディアを気に入っていました。私たちは、ハンガリーのアニメーション作家であるGeorge Palの生き生きとした作品が好きで、現代の技術を使って再現したかったのです」

コンセプトの通り、プロジェクトの決定は比較的シンプルです。アニメーションは下に降りるエスカレータのような階段を熊が登っているところを見せ、効果的にその場で歩行し続けるのです。「私たちは2秒間、50フレームアニメーションループを目指しました」とGilbert氏は言います。「まずは、エスカレータアニメーションから初めて、それに熊を合わせました」

大変だったパートは、階段ループの制作です。ブールオブジェクトを使って、クローナーを正しい形にカットした点です。それぞれのフレームごとに、階段は単一のメッシュになるように整理しました。

「私たちは階段のそれぞれのモデルが、閉じたメッシュで正しくプリントできるように法線の整列されているか確認する必要がありました」と、Gilbert氏は言います。

熊の動きのアニメーションは、BAFTAで受賞経験のあるロンドンを拠点にしたアニメーションスタジオ・Blue Zoo Productionsが担当しました。この熊の主人公をあなたはこれまでにも見たことあるかもしれません。アメリカのテレビチャンネルであるアニマルプラネットのリブランドスポットで、ポリゴンのグリズリーが魚を捕まえようとして、木で背中に怪我をしてしまうところを。

熊のアニメーションはCinema 4Dにインポートされました。それぞれの個別のフレームをOBJとしてエクスポートし、$2,000ドルで購入できるデスクトップパーソナル3DプリンターのMakerbot Replicator 2を使ってプリントされました

Gilbert氏は言います。「それぞれのモデルをプリントするには約3時間かかりました。プリントエラーが出たのは50体のうち1つや2つくらい。完全に印刷するまでは約4週間かかりました。長い時間でしたが、大きなファイルをレンダリングするときもそれぐらい使っていますよね!」

すべての50体のモデルをプリントした後、クマのフィギュアからプリント用のサポート材のプラスチックを除去しました。「私たちはメッシュのあちこちを微調整しなければなりませんでしたが、全体的にはプリント結果は非常に良かったです」とGilbert氏は言います。

しかしながら、あるリスクなしでこのプロセスを行えませんでした。

「私たちは、いつでも近くに救急箱を置いておきました。表面に樹脂が付着しているので、それを3Dプリントされた熊から取り除くのは大変な仕事でした。いつも指を切ったり、どこか怪我をする度に、私たちは「生きていることを感じるよ」というようなことを言っていました。私たちはコンピュータアニメーションに慣れているので、何かに触れることはとてもリフレッシュになりました」

成功したモデルは小さなライティングステージに配置され、DisneyやAardmanのようなトップスタジオで使われている、Dragonframeというストップモーションアニメーションのアプリケーションを入れたラップトップに繋げたCanon EOS 5D SLRを使って撮影されました。それを編集し音楽をつけて、世界に向けてリリースしました。この魅力的な映像は、テクノロジーの分野やクリエイティブなサイトに急速に広まりました。

「私たちも信じられないほどPRされました。私たちは完全にそのレスポンスに圧倒されていました。Time Magazine, Gizmondo, Wired, Creative Review, The Creators Project,The Vergeなどといった雑誌で記事が書かれたのです」

3Dプリントオブジェクト数年間、ストップモーションアニメーションで使われました。そしてライカの 映画ParaNorman(邦題「パラノーマン ブライス・ホローの謎」)でノーマンの多様な表情を作成するためのプロセスで使用されました。コンセプトは完全には新しいものではないですが、DBLGのループアニメーションはとても催眠的です。

「私たちはこんなにうまくいくとは思っていませんでした」とGilbert氏はコメントします。

スタジオは3Dプリントコミュニティから驚くべきフィードバックを得られました。しかし、奇妙にも、アニメーターの何人かはなぜCGで映像を作成しなかったのかと知りたがりました。

「これはポイントではないですが、誰でもできる、自分たちの手を汚して何かリアルなもの作成すること」Gilbert氏はプロセスの最良の部分として、プロジェクトの物理性を挙げました。「人々はピックアップしてそれに触れられずにはいられません」

DBLGとクルーは階段を上る熊の成功に興奮しました。そして、確実に未来の課題へのインスピーレションとなりました。実際、作品の拡張版を制作する可能性もあります。

「私たちは最高の3Dプリントを行うためにCinema 4Dからモデルの改良について学びました。私たちは技術を開発し、次のレベルへのプロセスを模索するためには本当に熱心です」


DBLG website:
dblg.co.uk


Author

Steve JarrattCGマニア/技術ジャーナリスト – イギリス