Leonardo da Vinci
最後の晩餐


最初に決まっていたのは、レオナルド・ダ・ヴィンチを扱った番組を制作するにあたって、バーチャルスタジオ用の3DCG素材がほしい、ということでした。

そこで私が最初に考えたのは、「どの絵を取り上げるか」ということと「どのような方法で作るか」ということでした。幸い「取り上げる絵」については、フジテレビ側の意向もありすぐに「最後の晩餐」に決まりました。

レオナルドの最高傑作であり、また絵の中に適度な空間があることからバーチャルセットとしても使いやすいと思われたからです。

しかしながら、「どのような方法で作るか」という点については紆余曲折があり、最後まで変更が続きました。


最後の晩餐の原画については、以下のサイトで詳しく見ることができます。

milano.arounder.com, Virtual Tour of Santa Maria Delle Grazie.

また、原画で失われてしまった部分(たとえばイエスの脚の部分など)を調べるために、ベルギーにある16世紀に制作された複製画を参考にしました。

この複製画は以下のサイトにあります。

www.tongerlo.org, Da Vinci-museum


CGにはいろいろな作り方がありますが、その時々の要求や制約に合わせて最適な作り方を考えます。

バーチャルセットというのは、スタジオに置いた専用のカメラとCG内のカメラを連動させ、CG画像の中にスタジオの人物を合成する手法のことです。したがって、3Dシーンをリアルタイムにレンダリングする必要があり、使用可能なポリゴン数やテクスチャサイズに大きな制約があります。

そのため、「最後の晩餐」に描かれた13人の人物を十分細かく表現することは不可能でした。また絵から立体を起こすため、「見えない部分」つまりテーブルに隠れた部分や人物の裏側などは推測によって作るしかありません。

そこで、最初は人物の裏側を作らず、絵から見える部分だけをポリゴン化する方法(レリーフ法)を考えました。また、少ないポリゴン数で複雑なエッジを表現するために、テクスチャのエッジをアルファで切り抜くことにしました。


レリーフ法でシーンを作った場合、ポリゴン数は少なくてすみますし、またテクスチャも原画をカメラマップして簡単に作成できます。しかしカメラをほとんど動かせません。カメラを動かすと人物が半分しかないことがすぐにわかってしまうからです。

そこで、次に人物の裏側を省略せず普通にポリゴン化(3D法)してみました。


3D法でシーンを作った場合、カメラは自由に動かせます。しかし制限の数倍のポリゴン数が必要になり、また原画に描かれていない部分までテクスチャを描き込んでいく必要があります。

バーチャルセットに使うコンピュータの能力が高ければ、またレオナルドと同等の優れた画力があればこの方法が最善ですが、今回は無理だと判断しました。

そこで、最後にレリーフ法と3D法の中間の方法を考えました。

それは、人物の裏側まで一応ポリゴン化するが、裏側のポリゴンは粗くし(可能な場合は削除し)、テクスチャも描かず黒く潰す、という方法です。この方法(半3D法)で人物を作ると図3のようになります。

半3D法でシーンを作った場合、ポリゴン数はぎりぎり制限内に収まり、テクスチャを描く負担も減ります。

このような検討を経て、半3D法でシーンを作成することに決めました。


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