Leonardo da Vinci
最後の晩餐

はじめに 経緯 部屋 人物 テーブル 照明 背景

最後の晩餐の部屋にはいくつかの窓と通路があり、外の風景が見えています。しかし、この風景の詳細は原画にほとんど残っていません。またもし残っていたとしても、見えない部分は知りようがありません。

しかしながら、この絵を3Dで復元するには、見えない部分もある程度作る必要があります。

そこで、原画に残された情報とレオナルドの他の絵を参考にして、レオナルドの意志を推測しながら背景を描くことにしました。今回の復元で一番難しかった部分です。

可能な限り合理的に推測したつもりですが、一つの可能性にすぎないと考えてください。


まずレオナルドの全集(Leonardo Da Vinci, ISBN 4-88783-259-1 C0371)を買い、レオナルドが好んで描いたモチーフを調べました。

その結果、多くの絵で「空は薄曇り」、「地面に起伏が多い」、「遠くに山が見える」、「湖がある」などの特徴が共通していることがわかりました。

モナリザの背景もそうですし、この絵の背景でも見える範囲ではそうなっています。


図1は画面中央の拡大図で、ひどく破損していますが「薄曇りの空」、「遠くに見える山」、「周囲の起伏」がはっきりとわかります。

また、背景の中に見える唯一のシンボリックなモノとして「教会」が描かれています。この絵は厳密な一点透視図法によって描かれていて、キリストの右こめかみが消失点になっています。これはキリストが一番重要だからですが、そのすぐ横に描かれたこの教会も同じぐらい重要だと考えられます。


図1. 画面中央の拡大図

そこで、背景の復元に際しては最後の晩餐の建物と、この教会を「一本道」でつなぐことにしました。また、周囲に「湖」を配置しました。

これらは現在の原画からはでは全く確認できませんが、完成時には描かれていた可能性があります。また、もしなかったとしても、視点を移動させて背景の別の部分を探せば見つかる可能性が高いと考えたのです。

特に「湖」に関しては、方角は違うものの照明の考察からもその存在が推測されています。

もちろんこれは仮定であり、証明できることではありません。しかし、原画に残っている情報だけから背景を再現すると「ただの森」になってしまいます。私はレオナルドが背景としてただの森を描いたとは思えないので、このような仮定を追加しました。

図2がこのような仮定に基づいて復元した背景です。遠くの教会に通じる道があり、その両側に湖が広がっています。


図2. 独自に復元した背景

図3は、最後の晩餐の部屋と大きな板に貼りつけた背景の位置関係を表しています。左側にも同じ背景を置いていますが、これはカメラが部屋の左側の壁を向いた時に見せるためです。

地面や空は全く見せないという前提で省略しました。


図3. 部屋と背景の位置関係

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