パワーグラフィックス: CINEMA 4Dによる空間を感じさせる映像表現

After Effectsとの連携が魅力でCINEMA 4Dを導入。グラフィカルに見えながら、空間も感じて気持ちいい、いいとこ取りの映像をつくる。

パワーグラフィックスは、洗練されたグラフィックデザインから映像までを手がけるデザイン会社だが、その経歴は異色だ。メンバーは同じ大学で建築を学んでいたが、デザインやプレゼンテーションに対する面白さから、グラフィックデザインと映像制作を仕事として始めたという。そして、10年前に3DCGソフトの「CINEMA 4D」を導入し、映像制作ツールの一つとして欠かせないものになっているという。今回、同社で映像ディレクターの小松好幸氏に、お話を伺った。

株式会社パワーグラフィックス
http://www.power-graphixx.com/

映像ディレクター
小松好幸氏

CINEMA 4Dを導入された経緯からお話いただけますか。
以前、Adobe のワークショップをさせて頂いたとき、担当の方に3DCGソフトを習得したいと相談したところ、CINEMA 4DはAfter Effectsのカメラと連動して、照明やオブジェクトの座標も書き出せるから親和性が高いと紹介されたのがきっかけでした。当時のバージョンはまだR7でした。

どんな仕事で使い始めましたか?
グラフィックベースの映像が得意なので、2D素材が比較的多く、導入前はAfter Effectsで3Dレイヤーを使うような映像を作ることが多かったのですが、平面を空間に見立てた映像に対して、限界を感じていました。そういった状況で、例えばオブジェクトをグルッと回したらどう見えるかとか、切断面はどうなるだろうかといったシミュレーションに使ったのが最初です。

本格的に使いだしたのはいつごろですか?
最初は動きのテストの為だけに使っていました。それから3Dを生かした表現が後から追いついてきたので、少しずつ映像に使っていくようになりました。それまではマニュアルも読まず、よくわからないまま使っていました。

きっかけになったのは、Omodaka「fortunate 1 mark」のミュージックビデオです。コンセプトとしては、ポリゴンで出来ているレトロな世界観で、ボートレースを映像化したかったので、3DCGソフトを使おうということになりました。この時、ボートの動きにカメラを追従させて、選手目線のカットを多用できたのは、導入前にはなかった3DCGならではの演出でした。また、レンダリングにはセルシェーダを用いて、プリミティブなライン表現を実現することができました。


Fortunate 1Mark

どうして、After Effectsのプラグインなどで3D表現はせずにいきなり3DCGソフトを?
元々あまりプラグインは使わずに、パースを効かせた映像を作りたいときに3Dレイヤーをよく使っていました。ただ、3次元でカメラが動くような場合、After Effectsのカメラはクセがあるため、10~15秒の映像ならいいんですが、ミュージックビデオのような長尺になると制御が大変です。
それに、3D平面を組み合わせて立方体を作った場合、つなぎ目にジャギーが出る場合がありますが、3DCGならラインをキレイに出せるんじゃないかということで、挑戦しました。




Paphooo!

作成されるときは、最初から3次元を意識して作成されますか?
僕は、学生時代に建築CADを触った経験があるので、3次元的な発想をするんですけど、他のデザイナーはまず2Dできっちり考えます。基本的には2Dに作り込んで静止画でも見られるようしっかりとデザインしたものを動かしていきます。尺の短い番組タイトルなどは特に2Dから発想することが多いです。そこから流れを組んでいくときに、奥行きや質感を付加するかどうか検討しながら、最終的にグラフィカルな表現に落とし込んでいく感じです。2Dの気持ちよさと3D空間の気持ちよさを掛け合わせた、良いとこ取りの2.5D映像を普段から考えています。


CINEMA 4Dの気に入っているところを教えてください。
レンダリングが早く落ちない点です。制作期間は余裕がないことが多いので、スピードと安定感は重要ですね。CINEMA 4Dしか使っていないので、他社製品と比較してませんが、同業者の人に聞くと早いと言われます。64-bitへの対応が早かったのもありがたかったです。また、デザインベースの環境で作業してますから、Mac版というのも大切です。グラフィカルな映像を作るのには、向いていると思います。

オブジェクトバッファで、マスクが自動的に取れることや、アンビエントオクルージョンも別のチャンネルとして書き出せるので、とても便利です。Cinema4Dである程度タッチを追い込んだ後、コンポジットでさらに〆切ギリギリまで調整出来ますからね。照明やカメラの欲しい座標が出せる点もいいですね。

表現の幅という点ではどうですか?
最終的なフィックスの画面ではマットな2D表現にしたいけど、途中の動きは艶やグラデーションを感じさせたいときなど、表現の幅が広がりますし、3DCGなら短い時間の中でいろいろ試行錯誤が簡単にできるので助かります。

たとえば、音楽専門チャンネル・スペースシャワーTVのSWEET LOVE SHOWERというイベントの告知映像を半年間かけて48パターン作りましたが、このときもイメージをコロコロ変えるのではなく、ベースとして強度のあるグラフィックをCGで作って、それをいろいろな角度で見せていくことで、統一されたビジュアルを短期間で作ることができました。




SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2009

他にはどんな仕事されましたか?
ウイニングイレブンのオープニング映像があります。ゲームそのものは3Dなので、オープニングでは平面を生かした映像表現にしたいというクライアントさんからの要望がありました。その中で、ウイニングイレブンのロゴには矢印が組み込んであるんですが、それを活かして展開することになりました。このとき素材提供としては写真だけでした。最終的には、矢印の先端に効果をつけながら、3次元の動きをつけたものにな
りました。先端にエネルギーを感じさせたかったので、CINEMA 4Dで矢印に追尾する球体を置き、After Effects上でそれをトラッキングして、光源の効果を加えていきました。

矢印のアニメーションは、モーションパスに沿って動かしていますが、このやり方はネット上のコミュニティで質問して、海外のプラグインを教えてもらいました。今ならMoGraphのスプラインラップでできますね。




Winning Eleven PLAYMAKER 2010 Opening Movie
©2009 Konami Digital Entertainment


最後に、映像表現で気をつけていることを教えてください。
3DCGは、フォトリアルを追求していくうちに、要素をつけ足し空間を埋めていく傾向になりがちですが、ともすれば過剰表現になります。
パワーグラフィックスでは、映像デザインとして、余分と感じる要素を足さず、時間的空間的な余白を使い、コントラストのあるCG表現になるように意識しています。

ありがとうございました。

Client: Far East Recording
Year: 2003
Motion & 3DCG: Yoshiyuki Komatsu
Graphics: Junya Saito
Music: Omodaka
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Title: Paphooo!
Client:  NHK
Year: 2009
Design: Masahito Hanzawa
Movie: Yoshiyuki Komatsu
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Title: SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2009
Client:  SPACE SHOWER TV
Year: 2009
AD: Masahito Hanzawa
Dir: Yoshiyuki Komatsu
Photo: Hiroyuki Nagatake
Music: KOOMA
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Title: Winning Eleven PLAYMAKER 2010 Opening Movie
Client: KONAMI
Year: 2009
Dir: Yoshiyuki Komatsu
Design: Junya Saito
Movie: Kensuke Sugimoto
©2009 Konami Digital Entertainment