写真のようなクオリティを持つCG作品を制作している、デザインユニット「マトリクス」。リアルな質感を追求するために彼らが選んだツールは、CINEMA 4Dです。
CGパースというと、レタッチやペイントなどによって、3DCGであっても手描きの味を大切にしている会社が多いのですが、そういった会社とは一線を画 し、グローバルイルミネーションを使いこなしてまるで『写真』のようなクオリティを持つCGを制作しているデザインユニットがあります。それは、CGや広 告のディレクションやデザインを行っている「マトリクス」です。彼らの作品からは、あたかもその場にいるような空気感が感じられます。そうした作品を生み 出すのに使用されているのが、CINEMA 4D。スタッフのヒラマツ氏とクロサワ氏にお話を聞きました。 CGパースではなく、自分たちのイメージを「写真」にしたい
「ほ かのところでは、レイトレースでレンダリングして、レタッチで陰影を付けたり、添景を合成するなどして仕上げていくことが多いようですが、ウチはできるだ けリアルに作るため、ほとんどのものをモデリングして、グローバルイルミネーションでレンダリングをします。もちろん、レタッチも行いますが、できるだけ レンダリングしたそのままで通用するものを作りたいと思っています。これによって、ムービーやVR、Flashなどに展開することが容易になります。作品 によっては、全てCINEMA 4Dで完結している作品もあります
パース画と言われるものをつくるのではなく、リアルさにこだわって『写真』を作りたいと思っています。仕事もこれまでのようないわゆるパースを求めている お仕事はお断りして、リアルさを求められているクライアントと仕事をしています。」とヒラマツ氏は語ります。
これまでとは違うイメージを制作するためか、特にデザイナーズ住宅の広告などの仕事が多いとのこと。本来リアルさを求めるなら、住宅や設備であれば撮影した方が良さそうですが、なぜCGで作るのでしょうか?
「写 真を撮影しようとすると、いろいろな制約があります。例えば、部屋全体を撮影しようとしても、壁や天井がじゃまをして限られたアングルでしか撮影できませ ん。実際キッチンやバスメーカーの撮影では、一部の壁を取り払った部屋を作成して、撮影するほどです。しかし、CGなら、そうした制約はありません。
また、予算の問題もあります。CGであれば、ソファやテーブルなどのインテリア用品や小物をデザイナー家具などにすることは簡単ですが、実際の撮影でそう した家具を用意することは、コストの問題上なかなか難しく、無印良品の家具などで代用することも多いのです。
また、キッチンやバスメーカーであれば、製品が完成する前に製品のパンフレットを作らなければなりません。商品が完成してからの撮影では遅いのです。
また、写真では、撮影後の変更が効きません。CGなら、低コストで変更可能です。また、写真のレタッチのためにCGでレンダリングした画像を素材として使うこともできます。」
そのリアルな質感に加えて、設計したデザイナーも建築前にイメージを見ることができ、喜んでいるとのこと。こうしたリアルなレンダリングを実現させるのが、CINEMA 4DのAdvanced Renderモジュールです。
CG制作を行うクロサワ氏はこう語っています...
「頭 に浮かんだイメージを、そのまま、写真以上にリアルに表現したい。そんな私たちの要求に応えてくれたのが、Advanced Renderでした。CINEMA 4Dのグローバルイルミネーションは、比較的設定が簡単です。以前使っていた他の3Dソフトでは、ラジオシティを使おうとするとモデリングを工夫する必要 がありましたが、CINEMA 4Dではそういったことを気にする必要はありません。パラメータも多くなく、テストを行いやすいということが、作品のクオリティに直結します。
また、非常にソフトウェアが安定しています。別のハイエンドのソフトを使ったことがあるのですが、安定性についてはCINEMA 4Dの方があきらかに上だと感じました。私の経験上、CINEMA 4Dは落ちるのは1~2ヶ月に1回あるかないか、いや、もっと少ないかもしれません。また、オブジェクトをコントロールするXPressoも気に入ってい ます。これを使って、窓の形を変えるオブジェクトを作りました。窓の高さやサッシの厚みなどを入力すると、自動的に窓のサイズを調整できます。これでいち いちモデリングする必要がありません。
Release 9になってからは、実用的で優秀なモデリング機能が搭載され、実践的になったことで、モデリングからシーン構築までのほとんどすべてをCINEMA 4Dで行うようになりました。」
リアルな質感にするため、普段から周りの環境の観察を行ったり、CG Talkなどの海外のサイトでCINEMA 4Dの技術情報も手に入れているそうです...
「CINEMA 4Dへの要望ですが、“複雑になるのは困りますが、グローバルイルミネーションをより細かくコントロールできるようなってほしい”ということです。それか らスクリプトに対応してくれると、いろいろなことを自動化して省力化できるので、ぜひ対応してほしいです。」
プロフィール:
マトリクス http://www.matrix-partners.net/ 2003年11月よりヒラマツ氏、クロサワ氏を中心に、現在のスタイルで活動をはじめ、3DCG制作、グラフィックデザイン、広告のディレクションなどを手がける。